30 Seconds
この主従とは
足軽から身を起こして天下人となった主と、その傍らで勝ち方を描いたとされる参謀。二人がそろっていた十数年のあいだに、天下の輪郭が定まっていきます。日のように人を集める主と、水のように理を通す臣。SENGOKUがまだ香りにしていない主従を、構想として読み直します。
- 主
- 豊臣秀吉(羽柴秀吉。関白・太閤、天下人)
- 臣
- 黒田官兵衛孝高(秀吉の参謀と伝わる武将、後に剃髪し如水と号す)
- 時代
- 戦国末期、播磨から九州へ
Monthly Feature — 日と水の物語
人を束ねて勢いをつくる主と、勝ち方を静かに設計する臣。
ひと組の主従を、香りの視点から読み直す。
30 Seconds
足軽から身を起こして天下人となった主と、その傍らで勝ち方を描いたとされる参謀。二人がそろっていた十数年のあいだに、天下の輪郭が定まっていきます。日のように人を集める主と、水のように理を通す臣。SENGOKUがまだ香りにしていない主従を、構想として読み直します。
Beginning
黒田官兵衛は、播磨・御着の小寺氏に仕える重臣の家に生まれ、姫路を預かる立場にありました〔史実〕。
織田と毛利が中国路で押し合いはじめた頃、官兵衛は早くから織田方につくことを主家に説き、みずから信長のもとへ赴いています〔史実〕。
信長は中国方面の攻略を羽柴秀吉に委ね、官兵衛はその与力として働くことになります〔史実〕。
二人が最初に言葉を交わした時期や場所の細部には、諸説あります〔諸説〕。低い身分から成り上がろうとする主と、家を賭けて時勢を読む臣。ここから十数年の同行がはじまります。
Roles
主 — 羽柴秀吉
気前のよさと調略で人を寄せ、敵さえ味方に変えていく。勝ち戦のたびに瓢箪をひとつ増やし、千成瓢箪の馬印にしたと語られます〔伝承〕。その求心力が、天下を動かす熱でした。
臣 — 黒田官兵衛
地形と時勢を図面のように広げ、水を攻めに使い、城の受け渡しや和睦の段取りを整えたと伝わります〔伝承〕。派手さの下で、勝ち方を静かに組み立てる役でした。
Trust & Tension
本能寺の変の報が届いたとき、天下取りの好機をいち早く進言したのは官兵衛だった、と伝わります〔伝承〕。
以後、秀吉は先を読みすぎるこの臣を、頼みながらも恐れたと語られます〔伝承〕。
九州平定ののち、官兵衛は豊前に封じられますが、その石高は戦功に比べて手厚いものではありませんでした。切れ者を近くに置くことへの警戒があったからだ、とも言われます〔諸説〕。
官兵衛は四十代の半ばで家督を嫡子に譲り、如水と号して一線を退きます〔史実〕。みずから退くことで、この主従は破綻せずに保たれました。
Turning Point
官兵衛は主家に織田方につくことを説き、秀吉の中国攻めの本拠として姫路を託したと語られる〔諸説〕。低い身分の主に、播磨の地の利をひらいて渡した格好になる。
荒木村重の離反を思いとどまらせようと有岡城に入った官兵衛は、そのまま土牢に落とされ、およそ一年を過ごす〔史実〕。脚を痛め、髪を失ったと伝わる〔伝承〕。信長は裏切りを疑って人質の松寿丸——のちの長政——の処刑を命じたが、竹中半兵衛が匿って助けたと語られる〔伝承〕。
備中高松城を水攻めにする陣中で、信長横死の報が届く〔史実〕。官兵衛は毛利との和睦を急ぎまとめ、ただちに軍を返すよう進言したと語られる〔伝承〕。秀吉はわずか十日ほどで畿内へ取って返し、山崎で明智光秀を破った〔史実〕。
九州攻めののち、官兵衛は豊前の数郡に封じられ、中津に城を築く〔史実〕。この頃までにキリスト教の洗礼を受けており、宣教師の記録に洗礼名シメオンとして名がみえる〔史実〕。
家督を嫡子・長政に譲り、剃髪して如水と号する〔史実〕。名は「水の如し」の意で、老子の言葉に由来するとも語られる〔諸説〕。翌年の小田原攻めでは、使者として城内に入り、北条方の開城をうながしたと伝わる〔諸説〕。
Two Fragrances
この二本は、まだ商品ではありません。商品化を検討中の構想として、香りの方向性だけを書き留めます。〔香りの表現は創作です〕
Layered
秀吉の陽気な柑橘と蜜の甘さの下で、官兵衛の濡れた石と藤の匂いだけが、静かに引いていく。
金泥の温もりと、泉の冷たさ。ひとつの器に、二つの温度。
官兵衛の香りに置いた藤の花は、有岡城の土牢から見えたひと房の藤に生きる望みを託した、という伝承にちなむ〔伝承〕。黒田家の家紋「藤巴」ともかさなる〔諸説〕。
秀吉が世を去ったのちも、如水はなお六年ほどを生きた〔史実〕。日が沈んでも、水は低きへ流れつづける。そんな残り方。〔香りの表現は創作です〕